バラ2
やさいびと

有機無農薬「食用バラ」栽培に情熱をそそぐ【深谷たんぽぽ 持田和樹さん】

バラは花の中でも絶対的な人気を誇り、女性なら誰もがその華やかさと美しさに魅了されてやまない。実はバラは病害虫に弱く、農薬を使用しないで栽培することは難しいとされている。そんなバラを有機無農薬で露地栽培し「食用バラ」を提供している持田和樹さんに ふかやさいアンバサダーのバラが大好きな李がお話を伺ってきた。

バラとのつながり

持田さんは、社会福祉法人埼玉のぞみの園「深谷たんぽぽ」に勤務されている。社会的自立を目指す障害者の方々に、作業や生活訓練を提供する事業所で、利用者の能力に合わせて薪作りや菓子製造などの自主生産作業や、軽作業に取り組んでいる。その中で、食育の観点から「食用バラ」を栽培し販売している。「よく働きよく遊べ」をモットーに「障害があっても働こうという気持ちがあれば、頑張ってやってみようよ。」「とにかく純粋にいいものを作ろうね、とみんなに声をかけている」とおっしゃる施設長の楳澤正範さん。


持田さんは介護福祉士であり、園芸インストラクターの資格もお持ちだが、以前は美容師として働いていたそうだ。美容師時代に出張で老人ホームに行ったときに、お年寄りの方々が外の花を見て「きれいだね。」と言う言葉を聞いて、それがきっかけでバラのガーデニングを始めた。「バラの香りを嗅がせてあげたかった。」と話す心優しい持田さん。咲かせたバラの鉢をいっぱい持って行き、老人ホームの中をバラで飾ったそう。この頃からバラには縁があるようだ。

逆転の発想 食物連鎖を活用した病害虫対策

3年前に化学肥料、農薬を使用しない「食用バラ」栽培を始めた。当初はハウスにネットを張って、虫を入れないようにして「いかに虫からバラを守るか」に専念。しかし、隙間から蛾が入ってきて花のつぼみや葉に何百と卵を産む。虫取りをする日々が続いたが、やればやるほど無理で心が折れそうになった。あるとき外に咲いているバラはハウスのバラより意外と病害虫の被害にあっていないことに気づいた。「なぜだろう?」自然栽培をしている農家さんの本を読んだり、虫や菌、生き物の生態について徹底的に調べた。時には夜の圃場に出て生き物を観察したりと、毎日持田さんの研究は続いた。

ふと植物や虫などの生き物の目線で考えてみた。
「様々な生き物が住みやすい環境を整えてあげたら良いのではないか?」
「バラにつく虫を食べる生き物がいる。そうだ!食物連鎖を利用しよう!」
「もう何も殺さないで、共生してみよう。」
すぐに防虫ネットを外し、どんな生き物でも行き来ができるようにバリアフリーにした。結果、地獄の様な虫取りから解放され「365日生き物が働いてくれるようになった。」と持田さんは笑いながら話す。

生物多様性の保全と、食物連鎖を活用した栽培実績が評価され2019年に生物多様性アクション大賞、審査委員賞を受賞

バラが咲いている場所に案内してもらったが、バラの周りには様々な草花が生えていた。バラ単体だけではなく様々な草花を植える事で、花の蜜を求めてくる生き物やそれを食べる生き物など、多種多様な生き物が増えてきた。また、不耕起栽培をすることで土の中に生息するミミズなどの生き物が増え、土壌が豊かになりバラの生命力も強くなった。過酷な夏を耐え5月から12月上旬まで連続開花するようになった。「生態系を整える事に専念したら、病害虫の被害が少なくなってきた。自然の調和の素晴らしさを肌で感じた。」「土を知るために試しに人参を育ててみたら、ゴボウのように長くなり、本当に美味しくてその味の豊かさにびっくりした。やはり土は大事だと改めて感じた。」と熱く話してくれた。

福祉とは共生社会を作るということ

 福祉が共生社会をつくる事と同じように、この栽培方法も自然の環境と共生させていくということでは同じだと思う。「必ずしも良い条件の環境ではなかった分、どうすればやっていけるかを試行錯誤してきたから導き出せた栽培方法だった。」と持田さん。あるがままの自然に向き合って見出された栽培方法なのだ。

ハーブティー専門店「ALL MY TEA」と連携して、ハーブの六時産業に取り組む

 2021年からハーブティー専門店ALL MY TEAと連携し、「オールマイティーファーム」を立ち上げる。自然共生と社会共生をテーマに、ソーシャルブランドとしてハーブの生産から加工、販売にも取り組み始めた。花園IC近くにある「HA-Z Classier」で、フレッシュな食用バラとミントの風味を活かしたハーブティードリンク「ローズシャンパン」を販売している。

食用バラを生かした取り組み

「ちょうど新作ができたので味見をしてみて下さい」とリンゴとバラで作ったジャムを出してくれた。透明な瓶から透き通る赤い色、バラの花びらが見えるジャムは美しく宝石のような優雅さと高級感が漂っていた。上品な香りがするフルーティーな味わい。約100種類のバラの中から香り、色、花びらの大きさ、味、食感、育てやすさなどを総合的に吟味しパーフェクトなバラを選んだそう。


食用バラから「ローズウオーター」の精製にも取り組んでいる。ローズウオーターは、食用バラを水蒸気蒸留法で抽出した無色透明の水。雑味を減らし、より洗練された香りにするため、2回蒸留している。とても華やかな香りで、時間が経つごとに熟成されて芳醇な香りに変化する。バラの芳香成分は女性のホルモンのバランスを整えたり、美容効果、抗菌作用があると言われている。思わず欲しくなるのは私だけだろうか()バラジャムやローズウオーターは、人に「贈りたい」「贈られたい」商品だと感じた。


「バラ栽培を始めて多くの方々が事業所に訪れてくれるようになった。障害者の方もお客様とお話をすることで笑顔が増え、社会とのつながりが持てるようになりモチベーションが上がっている。ここが地域と障害者の方とが交流できる場所になって欲しいと願っている。深谷市は野菜作りが盛んなまちだが花のまちでもあるので、色々な『食用バラ』の取り組みで深谷市に貢献ができたらよいと思っている。」と今後の抱負も語ってくれた。


帰りにお土産のバラをいただいたので早速サラダを作りバラの花びらを散らしてみた。シンプルなサラダが華やかになり、香り豊かなワンランク上の一皿に変身。ここまで心を満たしてくれるなんて…「食用バラ」はまさしく「魔法のスパイス」だ!

「きれいなものを目で見て楽しみ、美味しく食べる。」という二重の喜びを多くの方々にも感じていただきたいと思った。安心して食べられるバラは私達の生活を明るく豊かにしてくれると確信している。

取材・執筆:ふかやさいアンバサダー 李 美栄さん

PROFILE

社会福祉法人 埼玉のぞみの園 深谷たんぽぽ

所在地 :埼玉県深谷市人見2000

TEL: 048-572-1668

ホームページ:https://www.nozominosono.jp/facility/tanpopo

・食用バラ、加工品を買える場所:上記に同じ

・食用バラを味わえる場所

ALL MY TEA埼玉県深谷市荒川860-2

PUBLIC SWEETS TART&PIE (埼玉県熊谷市肥塚711-2 )

あしかがフラワーパーク(料理)(栃木県足利市迫間町607

野菜の楽しさに
何度も訪れたくなるまちへ。

肥沃な土地とお日様のチカラに恵まれ、全国有数の野菜・農業のまちとして知られる、ここ埼玉県深谷市。ベジタブルテーマパーク フカヤは、『関東の台所』とも呼ばれるこのまち全体を「野菜が楽しめるテーマパーク」に見立て、何度でも訪れたくなる観光地となることを目指しています。

深谷へのアクセスはこちら
VIEW MORE

関連記事

  • yasaibito_side
  • gurutto_side
  • recipe_side