1

手探りで始めた深谷リーキ栽培で、深谷に新しい農業の風を吹き込みたい【六次産業協同組合 持田直光さん 久保田豪さん】

六次産業協同組合は、平成27年に任意団体であった深谷漬物協会青年部が中心となり、深谷市内の農業者や野菜漬物製造業者によって発足しました。今回は、ふかやさいアンバサダーの福島が、六次産業協同組合に所属する持田さん、久保田さんのお二人にお話を伺いました。

ふかやさいのこれからを考えて立ち上がった二人

もともと漬物製造業の持田直光さんと漬物原料の野菜を生産してきた久保田豪さん。漬物の消費が年々減る中、漬物業界へ新たな風を吹き込もうと二人で立ち上がりました。価値ある野菜の生産を行い、漬物の価値を上げていくよう、様々な野菜の栽培を始めました。

始まりはリーキから

リーキは、西洋ねぎの一つで、長ねぎと違って葉が平らで、加熱すると甘みがあり、食感が柔らかくなるのが特徴です。二人は日本ではまだ希少な野菜の一つであるリーキの栽培を、深谷の地から始めました。


最初のきっかけは、深谷市にある種苗店「マルカクのタネ」からリーキを薦められたことです。もともと深谷ねぎの栽培を行っており、生産のノウハウを持っていたため、リーキの栽培に着手したそうです。
1年目は、長ねぎと同じ作付け方法で植え付けていきましたが、長ねぎよりも太いリーキには植え付けの間隔が狭く、リーキ同士が寄りすぎて密集してしまったとか。そのため成長が止まってしまい、もう一度植え付け直したそうです。


リーキ栽培のスケジュールは、2月に種を蒔き、4月~5月に植え付け、12月に収穫となっています。

「リーキ栽培で一番難しいところは、白い部分を長くするために行う泥あげです。」と話す二人。葉が広がって垂れているので調整しながら泥あげを行わないと葉の中に泥が入ってしまうそうです。

栽培当初、長ねぎと同じ方法で長ねぎ用の機械を使い泥をはね上げたところ、葉の間に泥が入りこみ一本ずつ洗ってから出荷することとなり、大変な思いをしたそうです。次の年からは、泥をはねるのではなくて寄せていく機械を使い、改善を図りました。しかし泥を寄せるだけでは泥あげの高さが足らないのではないかと試行錯誤。泥あげの方法はこれからの課題となりました。

リーキの品種、太いメガトンと長いロングトン


現在栽培されているのは二種類のリーキ。一つはメガトン。ペットボトルぐらいの太さがあります。おすすめは煮込み料理で、ゆっくり時間をかけて煮込んでいくと、やわらかい食感にしっかりと味が染み、おいしく食べることができます。


もう一つは、長さが40センチにもなるロングトンです。炒め物や焼き料理にオススメです。

栽培3年目、深谷リーキの生産量は徐々に増加

1年目は、2反(20アール)栽培しましたが、すべてのリーキを売り切ることができなかったため、花を咲かせて土に戻して終了しました。


2年目は、1年目と同じ量を栽培し、青果として販売できなかったリーキは冷凍保存にしました。漬物製造のノウハウを生かし、冷凍保存のリーキを使ってリーキ味噌を3,500袋作り、販売も始めました。

また「2022年からは、自分たち以外の生産者に『深谷リーキ』を栽培してもらい、我々はリーキ栽培のサポートをしていくような流れにしていきたい。」と二人は話します。

リーキだけではなく新しい野菜栽培にもチャレンジ


六次産業協同組合では、深谷リーキの他様々な野菜作りに取り組んでいます。上記の写真は、漬物で食されていることの多いザーサイ。 こちらは「深谷ザーサイ」として販売していきたいと考えているそうです。

私もはじめて見る生のザーサイ。ザーサイを揚げたらどのような食感や味になるのかと思い、ザーサイのから揚げにチャレンジしてみました。


ふわっとした食感で、ほのかに上品な甘さを感じる一品になり、とても美味しくいただきました。お二人は新しい食べ方の提案をしながら、新しい販路を見つけられるよう日々努力をし続けているそうです。


こちらは野沢菜。初めて野沢菜の胚軸の部分をいただきました。瑞々しくて甘みがあり、歯ごたえもよく食べやすかったです。野沢菜は漬物でよく見ることがあると思います。漬物にするには1回塩水につけておくだけ、そのひと手間で野沢菜の価値がグッとアップするそうです。


こちらは漬物に利用されているしゃくし菜(雪白体菜)です。


「まだまだ深谷の地で様々なことにチャレンジしていきたい。」と二人は声を揃えます。
例えば「湧水が出ているおかべでは、三つ葉や野生のクレソンを育てたい」とか「畑にやぐらを作り干し大根を作る。そして干し大根のやぐらの中で煮ぼうとうを食べたい」など。

二人は「感性が大事であり、人と同じことをやっていては新たに進むことができない。」と力強く話ししてくれました。

また「新たな野菜生産の流れを作っていきたい。今はその土台つくりの時期と考えて生産に向き合っています。」と謙虚に話してくれました。まだまだ六次産業化に向けて大きな夢を持っている組合に期待したいですね。

おまけ

せっかくなのでリーキのレシピを一つ…


材料

リーキ       1

トマト       大1個(300g

バター        10g

味噌         小さじ1

パルメザンチーズ  少々

作り方

(1)リーキは3センチの長さの輪切り、トマトはすりおろしておく。

(2)フライパンにバターを入れ、リーキの表面に焦げ目がつくまで炒める。

(3)(2)にトマトのすりおろしを加えて、20分弱火で煮込む。

(4)味噌を加え塩・コショウで味を調えパルメザンチーズを振りかけできあがり。

ぜひ作ってみてくださいね!

その他のリーキレシピはこちら

 

取材・執筆:ふかやさいアンバサダー 福島 玲子さん

野菜の楽しさに
何度も訪れたくなるまちへ。

肥沃な土地とお日様のチカラに恵まれ、全国有数の野菜・農業のまちとして知られる、ここ埼玉県深谷市。ベジタブルテーマパーク フカヤは、『関東の台所』とも呼ばれるこのまち全体を「野菜が楽しめるテーマパーク」に見立て、何度でも訪れたくなる観光地となることを目指しています。

深谷へのアクセスはこちら
VIEW MORE